素粒子とは何か?

「素粒子物理学」とは物理学の中でも「ものは何でできているんだろう?」という疑問について考える分野です。それ以上分けられない、ものの素になるもののことを「素粒子」といいます。

水などの物質は「分子」からできています。分子はさらに「原子」に分けることができます。その原子は「原子核」の周りを「電子」が回っている構造をしています。さらに原子核は「陽子」と「中性子」からできています。そしてその陽子や中性子を作っているのが、これ以上分けられない粒子、「素粒子」だと考えられています。

標準理論とは

「標準理論」と呼ばれるこの世界の説明は、これらの17種類の素粒子で世の中が(おおむね)説明できる、と主張していて、実験はその説明をよく再現しています。

この世界にどんな素粒子が存在するか、それらがどう相互作用するかは、「ラグランジアン」と呼ばれる式にまとめられています。ラグランジアンが与えられれば、素粒子の運動方程式が決まります。

標準理論のラグランジアンは以下のような形をしています。

この式は、我々の知っている世界が「物質粒子」「力の粒子(ゲージ粒子)」「ヒッグス粒子」の3つからなるとする世界像を表しています。

イラスト:ひっぐすたん

*物質粒子(ものを作る粒子)

アップクオーク、ダウンクオーク、電子は私たちの体や物を作っている素粒子です。物質粒子はさらに「クォーク」と「レプトン」に分けられます。クオークは常にお互いにいくつかくっついていて、レプトンはくっつきません。(例えば、陽子はアップクオークが2つ、ダウンクオークが1つくっついています。)

*ゲージ粒子(力を伝える粒子)

ゲージ粒子は力を伝える粒子と言われます。「力」というとたくさんあるように感じますが、実はこの世に力は次の4つしかありません。それぞれ1つの力を1つの粒子が伝えています。

実は重力を伝える「重力子」だけ、標準理論に入っていません。これは標準理論だけでは説明がつかないことがある、ということです。

*ヒッグス粒子

ヒッグス粒子は他の素粒子に「質量」を与えた、と言われている粒子です。水の中を歩く時に抵抗を感じるように、ヒッグス粒子が宇宙に満ちた後は他の粒子が動きにくくなりました。この「動きにくさ」が質量です。ヒッグス粒子が宇宙に満ちて質量ができた、というのは標準理論で言われていたことなのですが、「どうして」ヒッグス粒子が宇宙に満ちたのか?ということはわかっていません。